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2018年5月23日 大阪高裁

主人は第一審判決を不服として控訴。
判決から3か月半、大阪高裁の第一回期日を迎えた。
それまでには、主人方から控訴理由書というものが提出された。
なぜ控訴を訴えるのか、といった理由がかかれている。
大阪高裁に第一審判決を見直してもらうためには、
控訴理由書ではもっともなことを主張しなくてはならない。
しかも、第一審判決で討論していないような、新たな新事実や、
決定的な新証拠を提案しなければ、通常高等裁判所は真剣に考え直してはくれないという。

主人方から出た控訴理由書は、
これまでと同じ主張が繰り返されていた。
新らしい主張としては、
(なぜ養子縁組を記入して半年も掘っておいたのか、という点について)

「控訴人の兄弟がアメリカに住んでいるので、
もし、兄弟に子供ができれば、太郎と跡取り問題が生じることになる。
そのような経緯から、養子縁組を提出するかどうかを慎重に決めるため、かつ、
アメリカという国外の兄弟とのやりとりに時間がかかったため、
養子縁組を記入してから、半年以上も提出しなかった理由がつく。」
というものも加わっていた。

嘘を言う人は、しゃべるたびに新しいインフォメーションをくわえてくる。
そして結局は、つぎ足した情報に足をすくわれて嘘が露呈する。

嘘は一貫性がないので、後々どうにでも言い換えられる。
一見、理屈立っているようで、客観的に聞いていると全く意味が分からない。
めいろを行ったり来たりしているようで、ゴールが見えない。
聞いていると混乱して、煙に巻かれたようになる。
だが、煙に巻かれたままではいけない。それに飲み込まれては思うつぼである。
理解できない主張には、必ず無理や嘘が隠れている。
そもそも行為の目的や、理由が嘘なので、筋が通らないのである。

私は、控訴理由書に対して答弁書を提出した。
代理人の取り掛かりが遅いので、待てずに書き始めた。
控訴理由書を何度も何度も読み返しては矛盾を書き出す。
出来上がった答弁書を、何度も何度も修正し、
読み悪さや感情の部分をそぎ落としていく。

それは文章のダイエットのようである。
無駄なく鍛え上げ、それでも尚、人間としての魅力を残した完成形を求めて。

代理人弁護士は、ほぼ全採用という形で、
私の答弁書に一部修正を加え、大阪高裁に提出した。
控訴裁判の弁護人依頼費用に、30万円追い出したが、、
15万円くらい値切ればよかった、と胸の内にボヤク。


11時過ぎの新快速にのり、大阪駅へ向かう。
大阪高裁は初めてである。
大阪駅につくと、スマホのナビを片手に歩きだした。
スマホを回転させても、自分が上下になってもよくわからない。
大阪は歩きにくいところだ。
すぐ目の前の建物に行きたいのに、横断歩道がない。
それを探しているうちに一駅分歩いてしまった。
足が疲れ切ったころ、大阪高裁にたどり着いた。

入り口でボディチェックを受ける。
刃物は胸の中だけにもっている。
それにはセキュリティシステムは反応しないらしい。

弁護士と待ち合わせたロビーには、すでに数人が座っていた。

「しゃちょぉー、相手方、やばい人ですで。」
大阪弁の弁護士が依頼人を説得している。

私は一番後方の長椅子に座った。

しばらく待つと、代理人弁護士から電話がかかってきた。
「どこですか?」
「もう、います。今日の法廷も自分の名前も確認しました。」
私は答える。


大阪高等裁判所 12階 82法廷
天上が高く、威圧感のある建物である。

法廷へ入るまで、
私と代理人、後から来た控訴人代理人は待合室に腰かけていた。
相手方の代理人はいつになく愛想がよい。
面会交流の話がでた。

「そやけど、面会交流でも、こんな人やったら太朗くんに何いうか、するかわかりませんよ。」
私の代理人が言う。
相手方代理人が待たずに口をひらく。
「依頼人には言い聞かせているんですよ。辛抱せなあかんで。子供は見守らなあかん。」と。
「そな、もう、会わへんとか言い出すし。」「こうと決めたら譲らないひとやから。」
「でも、私が責任をもって指導しますから。」「だいぶ良くなってきたんですよ。」
相手方代理人がひとしきり話している。
私と私の代理人は、冷めた様子で顔を見合わせ肩をすくめた。

ようやく法廷へ入る。
一審判決のような緊張感ではないが、
それでも、法廷内へ入ると手と足が同時に出てしまう。
くるみ割り人形が歩き出たようで滑稽だ。

裁判官は3人。
真ん中がどうも一番のえらいさんらしい。
偉い人が、ボソボソと話し始めた。

「・・これ以上の鑑定は採用しません。」
「判決はお時間いただきますが、8月24日です。」


そしてあっけなく閉廷した。


つまりは、控訴理由にあった再鑑定の必要性を認めず、
もうこれ以上審議しないという結論である。


よかった。


120%そうでないといけないが、


心底よかった。


当たり前のことが認められて、


本当によかった。


人間を、
日本国を、
社会を、
正義を、
憲法を、
人生を、

恨まずに生きていける。


そして私は、大阪高裁を背にして歩き出す。
太朗にお寿司でも買って、
来た道と違う道を帰ろう。




















































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