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2018年3月26日(月)強いられた鯉

4月から保育園でいうと年中さんになる太朗。
今日は春休み3日目である。
ばぁばがお守をひきうけてくれるおかげで、
私は太朗と太朗のいとこたちに挨拶をして家を出る。
「今日は事務所?」と太朗。
「うん、事務所。」
私が答えると、太郎はにこっと笑って、
「やったぁ。いってらっしゃーい。」
快く送り出してくれた。
私が、東京や名古屋の出張の時はこうはいかない。
最後の別れかとばかりに、お別れの儀式が必要になる。
今日は離れ離れもせいぜい20キロメーター。
近くにいるという安心感が太朗とママを結び付けてくれているようだ。

車を走らせ、いつもの右折ポイントに来た時。
前方に嫌なものを見つけてしまった。
一気に全身が硬直する。
黒いレクサス。ナンバー確認。
主人が直進レーンにいる。
私は右折をするので横並びになってしまう。
心は冷静に保とうとするが、体が反応しない。
アクセルを強く踏めず、レクサスの30センチ後方に停止した。

悪いことをしている人はあの人ではないか。
嘘を何百回ついてきた人はこの人ではないか。
私は何も悪くない。

そう頭では理解できるのに、体が動かない。
右折をして、主人が離れていくのを確認した後、
下半身の力が入らないような、腑抜けた感じになった。

悔しくも、馬鹿らしくもあるけれど、今だトラウマは克服できてない。

急ぎ早に事務仕事を終わらせ、たまっていた段ボールをつぶしているうちに気持ちが整理できた。
その段ボールを車に乗せて、回収場所まで運ぶ。
事務所を出ると、数百メートルの距離に、主人の妹の新築がたっている。
主人の家の目と鼻の先にあり、同じくザ日本家屋である。
この道を通るときは、妹家の表札を確認することにしている。
まだ離婚はしていないようである。

なんとなくではあるが、私は妹夫婦の離婚を予想している。
一家の財産への執着がなくならない限り、この家庭も離婚という選択をすることになりそうだからだ。
私が案じているのは、妹の主人が望まない(知り得ない)ところで離婚届をだされること。
そして、私と同じように、子供を養子に出されてしまうのではないかということである。
私の戸籍上の主人が、妹の子供の親権を得ることができれば、
主人が所有している物件を、妹の子供名義にして、税金を逃れることができるのである。
太朗も同じ方法で名義だけを使われてきた。
主人は、太朗名義で年間300万円以上の収入を得ているのだから。

そんなことを考えていると、次の瞬間、ひらりと視界に入るものがあった。
見上げると、家の隣の畑のど真ん中に、こいのぼりがぶらさがっているではないか。
風に自由にたなびくというよりは、つながれた犬ならぬつながれた魚である。
私にとっては、鯉が昇ることを強いられている光景に見えた。

こいのぼりの時期にしては早い。
朝、主人とすれ違ったのは、こいのぼりの設置に来ていたということだろう。

こいのぼりが暗示すること。

去年10月に生まれた妹の子供が男のことであるということ。
あえてこいのぼりをこの時期にあげるのは、権力の象徴なのだろうか。
もしくは私に男の子の誕生を知らしめるためだろうか。
太朗の時にはこいのぼりを買わなかった主人が、妹の子供のために用意した。
これには様々な思惑が存在するのだろう。

嫌な憶測や想像が、続々にわたしの頭の中で湧き出ては消える。

いや、もしかすると生まれた子供は女の子かもしれない。
それでは、わたしへのいやがらせには弱い。
嘘でもこいのぼりをあげて跡取りができたことを見せつけたいのではないかと。
主人らのやることは、いつも想定を超えていく。
今回も、私の妄想が行き過ぎていると思いつつ、
万が一に備える心構えが癖になりつつあることを確認した。

























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