名古屋でテナントを借りている管理事務所から着信。
珍しことである。
「もしもし?」
私が返事をすると、事務員の女性は息巻くように話し出した。
「お宅さんへ送った封筒がね、ぐちゃぐちゃに折られて、
白い別の封筒へ押し込んであって、切手もはらず、”迷惑しとんじゃ!”って
殴り書きがしてあって、こちらへ戻ってきてるんです。」
ただ事じゃないというように話す女性に私は、圧倒される。
家政婦は見たの家政婦をイメージしてしまう。
「おたくさん、引っ越しされた後は、郵便局に転送サービスをされているっておっしゃってましたよね?」
「もしサービス中やのに、転送されずに前の住所に届いているとすれば、これ問題ですよね?」
「郵便局に私、確認したんです。そしたら本人さんでないと、サービスの状況を教えられないって。」
「今すぐ確認したほうが良いですよ。なんか、私、すっごく嫌な予感がして。」
私はすぐに郵便局に確認するよう答えて電話を切った。
姫路南郵便局に確認すると、転送サービスは継続中であるという回答。
しかし、今回郵送された先の住所が問題だった。
管理事務所の女性は、私の本籍に郵便を送っていたので、それを受け取ったのは、主人の両親だった。
親権を盗まれていまだ戻らず離婚もできず、戸籍は抜くことができない。
別居後も重要な私と太朗宛の郵便物が、悪魔の両親に届いたことがあるかもしれない。
思考が止まり、背筋が凍る。
こうして何度凍る思いをしたことだろう。
主人の両親は、養子縁組受理通知さえ私に渡さず、破棄した。
もちろん、私に秘密裡で出した届けだから、通知を渡すわけもないのだが。
彼らは、私や誰かの所有物をいとも簡単に破棄する。
権利や所有権を奪うのはたやすいことなんだろう。
悪魔だ。常識や道徳は全く通じない相手なんだ。
折り返し、事情を説明するために管理事務所に電話を入れる。
ワントーン明るい声の女性事務員さんが出た。
私の説明を聞き進めると、女性の声は徐々にトーンダウンした。
「そうですか。大変ですね。何かありましたら言ってくださいね。」
理解してもらえるだけで私は救われる。
いつもの堂々巡り。
相手が悪魔なら、
私と太朗を、どうやって守れば良いの?
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2018年3月14日(水)届かない郵便
2018年3月14日