太朗の保育園はインターナショナルだからか、クリスマスが盛大だ。
一年のイベントはクリスマスに始まり、またクリスマスに最高潮を迎える。
そんな感じだ。
今年も姫路市のホールを借り切って盛大なイベントの幕開け。
保護者たちは演者を遅刻させないように必死になる。
そして送り届けた後は息をつく間もなく、ステージ最前列の墳脱線の戦闘モード。
親というのは滑稽であり、愛らしい。
子供はさらに無邪気であって愛らしい。
太朗の初年の度のクリスマスショーはなんとも情けなかった。
見ているママとばぁばは痛々しかった。
太朗は、背中を丸めて椅子に腰かけ、目線を下に落としたまま無表情を貫いていた。
それは、ステージに上がるまでに泣き疲れ、精魂尽き果てた姿に見えた。
まるで年老いたおじいさんさながらだった。
それがなんと今年は生き生きとしている。
太朗のオーラが光っている。
前列に女の子たちが並ぶので、太郎は背伸びをしてママたちに合図をする。
ママとばぁばは最前列を勝ち取ったので、太郎はすぐにママを見つけることができた。
ビデオを構える。
太朗の表情を生で見たいと画面から目を反らすと、いつの間にかビデオは知らない子たちを映していた。
幼い、よその子たちが泣いている。
「ママー!!ママー!!」と必死の形相で泣いている。
それを見て、ママもばぁばももらい笑い泣きである。
自分の子であれば、胸が張り裂けそうだろうに。現金なものだ。
ショーが終わり、恒例のサンタ登場。
一人一人プレゼントを受け取る。
太朗は、ダークブルーの包み紙に銀色のリボンがかかったプレゼントを受け取る。
大事そうに抱え、時折頭上に持ち上げて、ステージからママたちにアピールした。
太朗。
大好きよ。
ママは、太郎がenjoyしている姿が何よりもうれしい。
プレゼントをありがとう。
ショーの後、回転ずしへ行こうと言って、着くまでにあけてしまった包装紙。
太朗のプレゼントはバットマンのベルトだった。
取り寄せるのに苦労した。・・いや、サンタに聞いた。
そんなサンタから手紙が入っていた。
”メリークリスマス。
たろうくん。
今年も頑張っていたね。
サンタはずっと見てたんだ。
今年ももすぐ終わる。
もう一つ。
こうしてほしいというお願いを、
先生やママに言ってごらん。
プレゼントはモノだけではないんだぞ。
手伝ってほしいことや
聞いてほしいことを口で伝える。
先生やママは、
太朗くんに願いをかなえるという
プレゼントができるんだ。
そして、たろうくんも
先生やママの願いを聞いてみてくれ。
プレゼントするというのは
喜ばしいことなのじゃぞ。”
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