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2017年12月3日(日)邪推

今年で45歳になる主人の妹が出産をした、という噂を聞いた。

どうしてか、はっきりした理由はわからないけれど鳥肌が立った。
単純に子供がほしかったのかもしれない。
単純に授かったのかもしれない。
純粋におめでたいことなのかもしれない。

それなのに・・私は、純粋さを感じられない。
この人達は何を考えているかわからない。
何を企んでいるかわからない。怖い。
また、闇が生まれてしまったのか。
絡み合う糸、運命の糸が増えてしまったのか。
またもトラブルのエッセンスが増えたことは確実であった。

太朗の未来に、相続でもめるようなことはしたくない。
いや、彼らはそれを考えてのことだろう。

太朗のいとこ。
か。
単純にいとこだけの問題であればよいが。
これらは未だ全くの邪推である。


妹さんの出産を知る経緯なこうだ。

太朗の保育園のお迎えの時、化粧品屋の前を通ることが日課になっていた。
平成の時代にこんなスラムが存在するのか、というほど荒れ果てた商店街の一角にそれはある。
他の店はすべてシャッターが下りて、はがれた壁、崩れ落ちた屋根を見ると、不気味と同時に危険さを感じる。
そんな商店街の中で2件だけが営業を継続していた。
妹さんの化粧品屋と、その隣のスポーツ用品店だ。
なぜ商店街が朽ち果てているかというと、主人と主人の父親が再開発を反対しているからである。
大手スーパーが買い取って、それぞれの持ち分に合わせてテナントを配分するという計画に、主人らは猛反対をしていた。
おおよそ商店街一体として話がまとまりかけたが、主人らがチームを抜けるようにして、大手スーパーと直接対決を挑んだ。
そんなことがあって、話はまとまらず、商店街の皆さんは大変な迷惑をこうむっているのである。
近所の人が「ごじゃな人がおってなぁ。話が進まんのやわ。」と言っているのを聞いたことがある。

この商店街。
妹さんが営んでいる化粧品屋のシャッターが10月からずっと閉まっている。
私はなんだか不吉な空気を感じた。
それは11月に入っても変わらなかった。

主人は別の場所に事務所を構えている。
地下が駐車場になっており、車4台が止められた。
いつも高級車が並べてあって、一番手前に事務員さんの軽がとまっていた。
私は自然とその事務所を避けていた。
近くを通るだけで心臓がドクドクした。

市役所に用事があって、主人の事務所の前を通ることになった。
今回はあえて自分の心臓を試してみようと思った。
ずっと逃げていてもいけないからだ。

ゆっくりと事務所の前の道を走らせる。
高級車が3台とまっている。
事務員さんの車はない。
私は高級車の1台に、ベビーシートが取り付けてあるのを見逃さなかった。

噂は本当だろう、と思った。
だからといって何が変わるわけでもないし、未来を案じていても無駄であるが。

とっさに思い出していた。
「ご主人のターゲットがかわったみたい。」「こっちに向かってた執着が別のところに行ったみたい。」
先月に、レッスンに来てくれた生徒さんが残した言葉である。
そう、彼女の予言は当たるのだ。

そうゆうことか。
そうゆうことだったのか。
全く爽快感はないが私にはしっくりと来たのである。


でも、待てよ。
彼女は出産をしたのだろうか。

いや、これもそれも今の段階ではすべて邪推である。










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