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2017年12月2日(土)人徳

いつの間にか11月が過ぎていた。

朝、布団の中で「今日はママいっしょにおれる?」太郎がたずねた。
今日の出張が直前にキャンセルになったので、ばぁばも太朗もうれしそうだ。

2015年の10月21日の事件がきっかけで、それまで世話になってきた会計事務所との関係を断たれた。
主人の紹介で顧問契約をしていた会計事務所であった。
所長は私たちの結婚式にも来てくれていたし、主人の父とは40年来の友人だった。
私が主人から暴力を受けて家を飛び出して、
主人と話し合いを持ちたいと仲介を頼んだのもこの所長だった。
予想通り、所長をもってしても答えはノーだったけれど。

人間とはなんと冷たいものか、と身に染みた。
「主人と今後のことを話し合いたいから、所長さん、間に入ってもらえませんか。」
私は息子を連れて事務所の戸をたたいた。
「たいへんやったなぁ。聞いてみるわ。」
そういわれ、深く頭を下げて帰ったことを思い出す。
数日後だったろうか。
「話し合いの余地なし。今後の会計の仕事も別の会計士を紹介するからそっちでやって。」
所長からは1本の電話があっただけ。
すべてが終わった、という気がした。
こうまで言われると未練なんて微塵もなかった。

紹介された会計事務所というのが、この後大変世話になり、
心の支えとなり、仕事や長い人生において知恵をつけてくださる先生との出会いとなる。

この会計事務所に所属していた事務員さん。
毎月私たちの事務所を訪問して、会計の報告やチェックをしてくれる若い女性。
入社して初めての担当が、うちであった。
彼女は、私や太朗の多くの困難を見聞きして知っている。
ばぁばが涙を流して相談したこともある。
人に財布を見られるほど恥ずかしいものはない。
私たちは、一番恥ずかしいところを彼女に、そして先生に見せた。
見せることで救われたし、肩の荷が下りた。

ある時の巡回時。
彼女のおなかが大きくなっていることに気が付いた。
まさか、と思ったけれど、次の月の巡回ではもう一回り大きくなった。
私もばぁばもたまらず尋ねた。
「おなか?おめでた・・?」
彼女はにっこりと白い歯を見せて笑う。
私たちは太朗のお古のベビーシートを譲った。

赤ちゃんが産まれたら遊びに来てね。
そう約束をし、赤ちゃんが生まれるという希望と喜びを感じると同時に、
彼女という人材がもったいなくてなんだか歯がゆかった。

そして、今月。
あかちゃんはもう6か月?7か月?
今、そのあかちゃんを抱いて私の事務所に出社をしてくれている。
今は未だ、週に1度。
後は在宅ワークでお願いしている。
そう、彼女が私の会社で事務員をしてくれることになった。

会計事務所の先生がおぜん立てをしてくださった。
そして彼女が受けてくれた。
ばぁばの仕事が楽になる。
私は頭を下げるだけ。





















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