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2017年11月10日(金)距離感

ハッとなって時間を見る。
出発まで40分を切っていた。
ワード画面の保存をクリックし、慌てて髪を整える。
リュックを担いで車に乗り込む。

新幹線には間に合った。
しかし、手見上げは買えずじまいだ。
自由席はいつも3列シートを選ぶ。
充電のコンセントを確保し、メールの返信に明け暮れる。

名古屋校までは歩いて10分。
地下街を歩くこの10分が私のウィンドーショッピングだ。
ふと、ばぁばに何かプレゼントしたい、と思えてきた。

名古屋校が入るビルにつき、ドアのガラスに映る自分の姿に笑顔を準備する。
「こんにちは。」
私の声に数名の顔がこちらを振り向く。

3名は在校生と卒業生。見た顔である。
この3名がこの度、講師募集に名乗りを上げてくれた。
そして、もう3名は名古屋校の先生たち。
「校長先生、遠方からありがとうございます。」
恐れ多いご挨拶に謙遜してしまう。

私の本題は、先生たちの面談である。
新人研修の後、場所を移して話し合いをしようと約束していた。

先生たちが次々と席につくと、なにやら重たい空気が流れた。
先生たちはそれぞれに、耳が痛いことを聞く覚悟をしていたというのか。
私は切り出す。
「何か困っていることとか、こうしたほうが全体として良くなるというアイデアないですか。」
「なんでも一つの事柄には、様々な評価が存在します。ある人は大絶賛し、ある人は真っ向から否定する。」
「だから私は点数をつけようとは思ってなくて。いろんな評価を聞いて、自分を知る参考にしたいと思っています。」

カフェの狭苦しいテーブル席に、距離感のあるメンバーが密着を強いられている。
顔を突き合わせる距離とうらはらに、心が後づさりするのを食い止めたかった。


沈黙を破るように口を開いた、M先生に続き、主任も口を開く。
それぞれが思っていた自分の立場。
お互いに知ってほしかった問題点。
失敗したこと。
知らない間に相手を傷つけてしまったこと。
許せないことと、許せる範囲。
速足でいろいろと話した。
テーブルの上や下で3人の手足が自由な動きを取り戻し、
彼女たちの気持ちがほぐれたことを確認した。


学校を運営していて、私が先生たちを束縛しようとする項目は何もない。
法律を侵さず、倫理的であればそれで良い。
もとを返せば、採用した時点で先生を信頼しているのだから。


一つお願いがあるとすれば、わだかまりを感じる前にサインを発してほしい。
鈍感な私でもよくわかるように。
「話がしたいです。」
「聞いて!」と言ってほしい。


話せばあらゆる方法が見つかると思う。
答えや選択肢は、考えれば考えるだけ出てくるのだから。



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