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2017年11月7日(火) 仕事・友人関係

神戸校主任と会う約束の日である。
かれこれ7~8年前。私が神戸校の教壇に立っていたころ。
第一期生と言っても良いかもしれない。
主任は私の講座を受講していた。
出しゃばらないが、ゴージャス感も持ち合わせた女性だった。
宝石でいえば真珠だろうか。

卒業を迎えたころ。
私が「講師はどうか」とヘッドハンティングした。
冷静に判断し、何事にも丁寧に対する性格が講師として適任だった。

そのころの受講生は8割方、年上の方が多かった。
彼女も私より年上である。
最初は、話し方に気を使った。

彼女も警戒心を持つタイプだと思う。
心を許すには時間がかかる。


「遅れます。先にどこか店に入っていてください。」
主任からLINEが届いた。律儀だ。
私はすいている店を探して、大丸周辺をうろついた。

平日の正午。
昼休憩に薄着で飛び出して来た会社員たち。
寒さに肩をすくめてランチを狩る。
一方、いつもより多めに着込んだマダムたちは、
その毛皮を脱ぎ捨てて、空のコーヒーカップを前に楽しいおしゃべり。
まるで作られたショーウィンドウを見ているよう。

今日は私たちも後者の方である。
開放感のあるカフェが空いていたので先に入ることにした。
入り口でケーキをチェックする。
モンブランか、チーズケーキか。


着席するとすぐに主任が現れた。
手にコートをかけ、頬が赤い。
慌てて来たのだろう。
明るい笑顔に、ほっとして、
久しぶりに恋人に会うような照れくさい気持になった。


特に仕事の話をしようと思って来たのではない。
彼女のことが知りたいと思ったからだ。

私が主人にSNSで攻撃され、
いろんなものへの喪失感に落ち込んでいる時、
主任は電話をかけてくれた。
敵味方で判断したくはないが、仲間がいるという安心感を得た。


私たちはお互いに最近の出来事を話すかのように、ここ数年の話をした。
言わずに済むことをたくさん話した。
そして二人は、人をうらややましく思う感情がなくなったということに深く同感した。

なるようにしかならない。
私たちの答えである。

無理して生きて、やっと得たものに傷があると知ったとき。
その傷が自分のせいだと思い悩むことは避けたい。

彼女がカップを置く。
私が時計を見る。
そろそろ保育園のお迎えが気になるころだ。

「ここは私が。」
主任が伝票をとる。
「いやいや、そんな、経費で良いです。」
私はいつものセリフ。
少し考えて、言い直した。
「うん、今日は割り勘にしましょ。」


















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