未分類

2017年10月18日(水) 療育カウンセリング

このところ太朗のイライラが気になる。
私のひとことにかぶせ気味に「違うわ~!!!!」とか、「あーーー!!」と反抗する。
そうなると私はシュンとなる。
失せる。
魂が逃げ出す。
主人に怒鳴られ続けてきたから、自分を守る癖がついているんだと思う。
太朗には主人のような、怒りの感情に自分自身がのっとられてしまう、そんな人間になってほしくない。
どうか、感情を自分でコントロールできるようになってほしい。
だからママは、太朗にイラッとされても深呼吸を一つ。魂を呼び戻す。
「太朗。ママの言うことを最後まで聞いて。太朗に悪いようになんか言ってないよ。」
これからどこまでも向き合おう。

太朗が通う心療内科。
4歳の子供の心をどのように診るのか。
それは「心理検査」と言われる、発達検査のようなもので判断される。
運動能力や言語能力など細かいカテゴリに分けて点数付けをしていくのだ。
太朗の心理検査には1時間くらいかかっただろうか。
私は別部屋でまっていた。
時折、太朗の明るい声が聞こえる。

また別日には、マジックミラーの部屋に入り、太朗からは見えないが私からは太朗の様子が良く見える状態で、心理士と遊んだり、課題に取り組んだりする検査も行われた。
あえていじわるをするような場面もあったり、子供がどのような反応をするのかを確認していく。
このクリニックでは、その様子の一部始終が動画撮影されており、後のカウンセリングに活用された。


その時の映像を振り返りながら、今日は心理士の人からフィードバックがあるということだった。
通された小さな部屋に、ノートパソコンから流れる愛おしい太朗の声が響く。

心理士の先生の優しい表情に癒される。
「お母さん、大変でしたね。お父さんの影響を心配されているんですね。」
引き出されるように私も答えた。
「太朗はとても過敏な子でした。私が離れると髪をむしって何時間も泣き叫び続けました。
あの頃、私自身も主人に怯えて、今日生きているのが精いっぱいという中で、今思えば、太朗も怯えていました。
あの頃に私がもっとしっかり守ってやっていれば、と申し訳なく思うんです。
私が、母が、穏やかに何も恐れず、ただ温かく抱いて育ててやれればよかった。それが出来なかった。
だから、今、やっと季節を感じる余裕が出来て来た今だから、太朗に出来ることをしてやりたいと思っています。」

目頭が熱くなってしまった。
先生の方が先に泣いていた。

ティッシュで涙を拭いて、今日の本題が始まった。
説明が始まる。

「太朗くんは何でもよく出来て、今日はあえて出来ていないところだけにしぼって説明しますね。」
「これから療育が始まりますから、課題にしていくところについて、確認出来ればと思っています。」

そして問題がある部分の動画が再生された。

心理士の先生が「粘土で遊ぼう」と言うと太朗は粘土に飛びつく。
次に先生が「車で遊ぼう」と車のおもちゃに手をかけると、太朗は「僕の!」と走ってくる。
どちらも自分が占領したい。どっちも取られたくない、という感じである。

続いて、指示理解のチェックだ。
太朗の目の前に、箱、ボタン、積木5つ、ペン、コップなど道具が置いてある。
先生が早口で「ボタンを箱の上に置いてください。」
「積み木を1つコップに入れ、床に置いてください。」
太朗は、「え?1つ?2つ?」などつぶやきながら、先生の顔色を窺っている。
先生のリアクションがないので、自信なさげに積み木を2つ入れたコップを床に置いた。
そして自信のなさを紛らわすようにチョケてみせた。

また別のシーンでは、ねこの絵が4切れになっているパズルを渡された。
太朗は、「え?ねこ!」と言いながら、4切れを全て横並びにしてしまった。
1切を反対向けたり、上下をひっくりかえしたりなどの試行錯誤はしなかった。

「太朗君は指示理解が少し弱いかもしれませんね。記憶力が良いので、前にしたことを覚えてしまっていて、それが邪魔して聞けなかったりもするかもしれません。
もしかすると、単純なところで指示が理解できていないことがあるかもしれません。理解できなくて、出来なくて自信を失ったり、ということもあるかもしれませんね。」

太朗は、1切を理解する力はすごい。集中力もあると思う。
でももしかすると4切に繋げてみたり、引いて全体図を見る力は弱いのかもしれない。
太朗と私の課題は1切で判断せずに、少し待って全体を把握する力を養うこと。
人間関係においてもそうだと思う。

部屋を出た廊下のところ、私たちは自然と立ち止まった。

「太朗には、楽に生きていける大人になってほしい、それだけです。クリニックに行くことが恥ずかしいとか、
問題があるとかそういう感覚はやめて、家族や子供のことを社会に手助けしてもらおう、って思っています。」
「課題が見えて安心しました。何も見えない方が怖いですから。ありがとうございます。」

先生はにっこりと笑ってくれた。
療育はママにも必要だったようだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA