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2017年10月5日(木) 法廷対決 本人尋問

”とうとう”やってきたこの日が。いや、訂正する。
”いよいよ”やってきたのだ、この日が。

数日前から太朗の調子が思わしくない。
私の風邪をうつしたのだろう。
今日ばかりは保育園を休ませることができない。
なぜなら、ママもバァバも丸一日出廷しているからだ。
前日までは太朗の様子を探り探り、5日までにはなんとか!と、帳尻を合わせる思いで、2日間は保育園にもいかずゆっくりと休ませた。
じぃじも午前中はお客さんがあるらしいが、保育園の呼び出しがあればいつでも駆けつけると言ってくれた。

太朗はまだ本調子ではない。
顏に目立つできものを2つこさえて、ニコッと笑う。
熱のせいか、痛々しい。
「ママの一大事なんや。大事なお話を一生懸命話すんや。緊張する。大丈夫かな?」
ママが太朗にぼやくと、太朗は「大丈夫やで。緊張せんとき。普通にしたらえんや。」と遠いところを見ながら答えた。
その声には力があって、太朗が未来を見ながら言っているようで、ママは一気に背筋がしゃんとした。
目が覚めた。
ママは普通に話せば良いんだ。
それが真実なんだから。

白いワンピースを着た。
太朗が「かわいい!」と喜ぶ。
私の勝負服。
「私は潔白です。」

太朗を保育園へ送っていった足で裁判所へ向かう。
弁護士会館前の駐車場には、既にバァバの車があった。
隣に駐車し、お互い目も会さず裁判資料に目を通す。


7号法廷。初めてだ。
ドラマで見る、あの感じ。
ただ、サイズ感は小さい。
私は、日頃の主人からのストレスに対する健康被害が裁判所に認められ、
私が証言する際は、主人が目に入らないように、とついたてが立てられた。

10:00 
メンバーがそろう。
ピラミッド型の頂点が裁判官。その下に書記官が座る。
向かって左に、私と代理人弁護士。その向かいに、主人と相手方弁護士。
座り切れないから傍聴席に、主人の両親。
そして、日頃から裁判の行方を心配してくれていた、友人であるおじさんたちも駆けつけてくれた。

尋問が始まる。最初は声がつまり、震えた。
「たろう」と刺繍されたハンカチを握りしめて答えた。
傍聴席で時折、馬鹿にしたような声が上がる。
私はついたてで見えなかったが、主人とその父は終始ニタニタと笑っていたという。

午前は私たちの尋問、午後は相手方の尋問であった。
午前を終えた時、「これでよかった」直感的にそう思えた。
バァバと私は、しばらく恍惚とした感覚を味わった。

午後、聞くに堪える相手方尋問が繰り広げられた。
私には屈辱でしかない。静かに耐えろ。
これを耐えたら光が見える。
ハンカチにある「たろう」の刺繍部分を何度も何度もさすっていた。

長い、長い、午後の部の終わりを告げた、裁判官の言葉。

「科学的検証は、不必要だと思いますので、採用いたしません。」

目を閉じて、拳を握って、背中を丸めて、心の中で叫んだ。
「良かった、よかった!!!!!」

バァバの同じ声が聞こえた気がした。

来年1月、2月に判決が出るだろう。
ママと太朗の人生のスタートとゴールが見え始めた。

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