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2017年9月27日(水) 動物たちの親権

インパラの母は茂みに赤ちゃんを隠す。
母が呼ぶ声がすると、赤ちゃんは茂みから出て来て乳を飲む。
自然界では良くある不幸だか、ちょうどそこへライオンのメスが現れた。
おなかを空かせている様子で、赤ちゃんとの距離を縮めていく。
お母さんは苦渋の決断とばかりにその場を去った。
残された赤ちゃんはライオンににらみをきかされたまま、震えながら立ちすくんでいた。
しかしライオンは一向に獲物に手を出さない。
そればかりか震える赤ちゃんに寄り添い一日を明かした。
とうとう赤ちゃんは乳を探すようにライオンの胸に顔をうずめた。
このライオンは家族を無くした、孤独な雌ライオンだったのだ。
ライオンが狩に出かけた間に、インパラの母が戻り、赤ちゃんを連れて姿を消した。

そんな番組を家族でみていた。
みんなそれぞれが深く感じ入っていた。
太朗は私の顔を覗き込んで、”ママ泣いたらあかんで、大人ややからな。”と言った。
太朗にはママの胸が苦しくなることがわかったみたいだ。

私は思う。
苦渋の決断をしたインパラの母、残された赤ちゃん、赤ちゃんを保護したライオン。
三者の権利を裁判で争うとしたら、それはとてつもなく難しいものになるだろう。

親権を争う人間がたくさんいる。
大人は何を奪い合っているのだろう。
愛情とか繋がりとか、言葉や形にできない確かなものは、奪い合うような類のものじゃないのにね。

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