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2017年8月23日(水) 被害相談

目を覚ました途端、太郎が「今日は、ヤーの日やな。」と言う。
確かに水曜日である。
なぜ曜日が分かるのだろう。
これまで曜日を理解したことはなかった。
太郎が知っているのは、保育園が休みの日が土日であることくらいだ。

太郎の額が熱い。
朝から37.8度もある。
保育園を休んで小児科へ向かう。
珍しく混んでいない待合室は、太郎の好き放題おもちゃが選べる。
診察が終わり、お熱の時の恒例行事、シェイクを飲みにマクドナルドに立ち寄った。
灼熱の車内、シェイクも紙コップもすぐにへたってしまった。
車内に置いておけないのは子供だけじゃない。
シェイクを片手にカメラのキタムラへ。
昨日、私たちを監視しに来ていた主人と祖父の証拠写真を現像するためだった。
どんな写真を現像するか説明はしていないのに、太郎は「悪い人の写真を現像して、警察に持っていくんやな。」とつぶやいた。
私は心を読みすかされているのかとドキリとした。
曜日の言い当てに始まり、お熱のせいか本日、太郎に超能力が芽生えている。

私も太郎もひっ迫する場面を様々経験してきた。
そしてわかったこと。
子供には第六感がある。
親子が離れていても同時に異変が起こったり、親が一大事を子供に隠していても子供の体に異常が出たりする。
さらに幼児の間は、母のストレスはダイレクト、いや、イコールにして子供に伝わる。
胎児がへその緒でつながっているように、母と幼児は二つであり一つであるということ。

太郎には読めていた。
現像した写真は警察へ提出するのだ、ということが。

写真を受け取り、自宅へと車を走らせる。
慣れた近所の道である。
対向車線から見覚えのある黒い車が近づいてすれ違った。
確かに主人が運転していた。
昨日に続き、またも自宅へ来ていたのだ。
不気味さ、腹立たしさがこみあげる。
今日もまた必死で平然を装った。
太郎がとなりにいるのだから。

食べない太郎と言い訳程度の昼食を済ますと、ちょうどばぁばが戻ってきた。
私と同じことを考えているらしい。
片手にカメラのキタムラの袋を持っている。
午後から3人で警察に行くことになった。

予約なく訪れた警察署で対応してくれたのは生活安全課の女性の警察官であった。
狭い取り調べ室のようなところで女性警察官が私の事情を聞いてくれ、廊下の長椅子で男性警察官がばぁばの話を聞いた。
太郎も一緒だ。

「パトロールを強化しましょう。」
「保護命令について裁判所に聞きに行ってください。」
「注意勧告はしましょうか?」と言われ、主人らを逆上させることが怖いのでためらった。
これまでもそうだ。
養子縁組の無効には、引き渡し請求を。
婚姻費用分担調停には面会交流を。
DV被害届には、DVでっちあげの被害届を。
ことあるごとに仕返しをしてくるのがあの人なのだ。
私たちはためらったあげく、やはり注意勧告はやめておいた。
恐怖が先だったからだ。

帰り際、女性警察官が「お子様の連れ去りも心配やからね。どこの保育園?」と太郎に尋ねた。
太郎が答えると女性警察官は、手持ちのメモに保育園名を書き足した。

警察署が終わり、太郎は「ややこしかったわ。はよ、遊ぶとこいこ。」と空気を換えてくれた。
私と太郎は、ちかくの児童施設へ。
しばらくシンプルな時間が必要だった。

帰り道、裁判所へ寄る。
保護命令について担当者から説明を聞く。
申請する人が少ないのだろうか。
慣れていないのだろう。
マニュアルを引きながら、何度も確認している。
慣れない様子とうらはらに丁寧な対応にありがたみがわいた。

保護命令は、裁判の手続きと同様。
相手方を呼び話を聞いて、最終的に裁判官が判断をする。
生命の危険があるとき、DVの相談実績があること、など要件が数々ある。
それに申請書類がとてもややこしい。
これじゃあ何週間、いや数か月かかりそうだ。
こんなことしている間にやられてしまう人もいると思う。
現実的じゃないと感じた。

保護命令を申し立てたら、きっと主人は激しい言い訳と復習を用意してくるだろう。
今はそれに耐えられる気力も体力も時間もない。



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