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2017年8月22日(火) 裁判あがりの税務調査

太郎を保育園に送った後、とんぼ返りをして裁判所に向かう。
すべて姫路の裁判所でまとめられる事件なのに、別の裁判所を指定するのは、あの人のいやがらせの一部であった。
なにもかもがいやがらせだ。

裁判所の長椅子にかけて開始時間を待っていると、見覚えのある、いやトラウマのある黒い車が駐車場に入ってきた。
主人だ。
この裁判に主人が来るのは初めてである。
私は息をのみ、身をすくめた。
体は硬直するが、頭の中は「冷静に、冷静に」とリピートする。
目を合わさないようにしよう。
見ないようにしようと決めた。

次の弁護士の先生がやってきて「彼、来てるんちゃうん?」と私に尋ねた。
「はい。」
答えた私の顔は歪んでいたと思う。
先に私と先生が部屋に入り、出入り口側の椅子に腰かける。
次に相手方弁護士が、トレードマークの中折帽をかぶってやってきた。
夏仕様になっている。
同時に主人が入室、何も言わず窓側の椅子に腰かけた。
ちょうど私と向かい合う形だ。
間にあるテーブルがやたら大きくてたすかった。
主人との距離は2mは取ることができた。

そのあと、裁判所の職員さんが入室し、主人に向かって控えめに尋ねた。
「えー、本人さんですか?」
主人は、「はい。」と即答したが、弁護士が慌てて「あ、いや、本人はおじいさんだから・・」と答えた。
職員さんは私に向かって「本人ではないですが同席、よろしいですか?いない方が良いですか?」と尋ねたので、私は小さな声で「・・いない方が良いです。」と答えた。
そして主人は退室した。

この裁判は、「親権に基づく未成年者引き渡し請求事件」である。
つまり、主人の父と母が、私に「お前は親権がないから子供をわしらに引き渡せ」と訴えているものである。
私からしてみると、違法に主人と祖父母に奪われた親権である。
いってみれば、違法行為の二乗を正当化されているのだ。
私や太郎にしてみればその被害や損害は二乗どころではない。

法廷画家がいるのならば、早口で一見腰が低そうに見える裁判官と、
無口で受け身な私の弁護士と、あたりやのような相手方弁護士と、それを見つめる私の構図が描かれるだろう。

相手方弁護士が私の主張を湾曲させたり、本来と違う意味で上げ足をとったり、自分たちが言ったことの整合性が付かない飛躍した主張をしたり、
いつもと同じことではあるけれど、聞いているだけでやるせなさと悔しさがこみあげ、今回は涙があふれてしまった。
私が持てる力の120パーセントで調べ上げたり、裏を取ったり、足を運んで調査をしたり、報告書などの書面をつくるのにどれだけ努力したかわからない。
それを黒塗りされるような言葉が続く。
涙を拭くとばれるから、流したままにしておいた。
閉廷するまで、いや、炎天下の車内まで涙は止まらなかった。

弁護士の先生が「大丈夫?お茶でもするか?」と珍しい提案をしてくれる。
先生がうろたえているのがわかった。私は答える。
「いや、かかえているものはいつも変わりません。ただ、今日は噴き出してしまっただけです。大丈夫、です。」と。
状況はかわらないもの。
今だけ対応してもらっても意味ないんだ。
先生にはそれをわかってほしかった。

そしてこんな日に税務調査がくる。
ガツン、ガツン、ガツンとパンチを受けているような気持ちだ。
この調査も、主人がさんざん言っていた「脱税」「告発」が関係しているのだと思った。
裁判の相手方から出される書面には、私にあてた「私利私欲にまみれ、数千万の脱税をしている」から始まり、
「自分たちは脱税の告発をしている」に続き、最後には「数億の脱税をしている。」とエスカレートしてきた。
調停でも同様の主張をして、主人は婚姻費用を最後まで出し渋った。

私は事務所に戻り、スーツ姿に汗まみれの税務署職員に業務の流れや、書類の説明をした。
とにかく今日の仕事に手を付けたかったので、「自由に見てください。」と事務所内を案内したが、
職員らは「許可が要りますので勝手にできません。」と答え、逐一私の返答を待った。おかげで仕事は何も手につかず、この後は、会計を一任しているばぁばに任せて先に事務所を出た。
私やばぁばの態度が、あまりにおおっぴろげだからだろう。
職員の身構えていた力が一気に抜けたような顔をしていた。
税務署の職業病なのか。
「嫌がられる、不信感を持たれる」ことが染みついているようだった。
ママは急いで太郎を迎えに行く。

その日の夕方メールを見ると、慌てたように先生から3通来ていた。
提出を急ぐ書類の最終確認の連絡だった。
しかし、1か月以上前から提出してくださいとお願いしていた陳述書の最終確認や提出はされていないようだった。
”いそがしい””時間がないので” 何度聞かされてきただろう。
私の中に諦めが染みついてしまわない間に、泣かなくてもちゃんと聞いてほしい。
私にとっては命をかけた裁判だから。
私は、ある時、先生のキャパに気が付いてしまった。
だから、自分で動かねば、しっかりせねば、自分で書類を作らねば、と自らにプレッシャーをかけ続けてきた。
そして実際そうしてきた。
だから、裁判の相手方弁護士の言葉は、他人事でも何でもない。
目の前の敵が目の前で刀を振りかざしている、4Dの恐怖と戦っている。

午後には、同裁判所で離婚の裁判があった。
相手方が原告である。
DVのでっちあげをしたと相手から慰謝料を1000万円請求されている。
もうこれも当たりやでしかない。
お金がほしいだけなのか。
私は出席できなかった。
本当のことを言うと、もう相手をしたくない。。

夕方。
もうすぐ闇がやってくる直前の6時半。
じぃじは犬の散歩にでかける。
いつもなら庭で太郎やいとこたちが水遊びをしている時間だ。
今日は、いとこは来ていない。
ママは夕飯の準備、太郎は室内で遊んでいた。
ママが勝手口から外を覗くと、じぃじが「おい、黒い車がそこにとまっとるぞ。」と早口で言った。
私は直感的に、主人だ!!!!と感じて携帯を取りに室内に戻る。
異変に気付いた太郎が外へ飛んで出た。
ママは携帯片手に、隣接する道路に目をやると、急発進し逃げ去ろうとする黒い車を見た。
その距離3m先の出来事だ。
心臓はバクバクし、携帯を持つ手が震えた。
主人は、私の家の横に車を止め、車から出てうろうろし、家の写真も撮っていたという。
じぃじだけでなく、ママも太郎も目撃した。
間違いなく主人の姿を。
怖い、怖い、、、次は何をされるのだろう。
不気味でならない。

そのころ、ばぁばは事務所を出ようとしていた。
ママや太郎やじぃじは、先ほどの一件で恐怖におびえつつ平静を保とうと食事を始めたころだった。
携帯が鳴る。
ばぁばからであった。
ばぁばは声を震わせながら早口で「じいさんがきとって、にらみつけられて・・」パニックになっているので説明にならない。
ママが整理をするように尋ねると、やっと落ち着きを取り戻して話し始めた。
「事務所を出たら、見覚えのある車が停まっていて、こっちをみてじっとしているんや。おじいさんやってすぐわかった。」
「距離にして5mくらい。動かないからいつからおったかわからん。私のことをすごい形相でにらんでじっとしていて、私は自分の車の横に立っていたんや。」
「そしたらその車が動き出して、服が車体にこするくらい接近されて、おじいさんの顔と私の顔が1Mも離れないくらい、真横に止めてにらみつけて威嚇するんや。」
「私が何ですか?って3回、勇気を振り絞って聞いても動かない。仕方ないからカバンから携帯を取り出してカメラを向けたら動き出していってしまった。殺されるかと思った。」と。
ママは、低い小さな声で、そばにいる太郎に配慮して「こっちには主人が来た。」と答え、とにかく、慌てず、落ち着いて安全に帰ってきてくれと伝えた。
電話があって帰ってくるまで1時間半かかっていた。私はばぁばを心配して2回も電話をかけた。

不気味。怖い。
何を狙っているのだろう。
それも親子で・・・ 命があってよかった。
気を引き締めて気を付けよう。
それしかない。



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